サケ・マス通信ブログ - 根室海区カラフトマスの母川回帰性を探る 道総研水産研究本部成果発表会
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根室海区カラフトマスの母川回帰性を探る 道総研水産研究本部成果発表会2011/08/12 4:30 pm
カラフトマスの母川回帰性探る
道総研水産研究本部 成果発表会
根室海区当幌川で調査研究
今後の資源造成にも貢献
地方独立行政法人・北海道立総合研究機構水産研究本部は、道内各水産試験場で行っている研究開発、研究成果を広く公開する「平成23年度水産研究本部成果発表会」を8月9日、札幌市内中央区のかでる2・7で開催した。
冒頭、鳥澤雅水産研究本部長が挨拶。「3月の大震災で被災した東北地方が徐々に復旧していく様子をみて、水産業は地域経済を支える大きな存在だと改めて強く感じている。水産業では今、水産物を上手に利用して持続可能な資源にしていくことが大きなテーマ。各水産試験場ではそのための研究に取り組んでいる。北海道の優れた水産物を新鮮な状態で消費地に届け、またより価値の高いものとして評価を高めて、本道経済にも寄与できるように努めていきたい」と述べた。
研究成果発表は、口頭発表が7件、ポスター発表は7件で合計14件。
このうちサケ関連をみると口頭発表では、さけます・内水面水産試験場道東支場の虎尾充氏が「カラフトマスは生まれた川に戻ってくるのか?-根室海区におけるカラフトマスの母川回帰性-」というテーマで報告した。
カラフトマスの母川回帰性の程度はほかのサケ属魚類に比べ弱いとされており、特に日本での状況はよく分かっていない。そこで今回の研究では、標識を付けたカラフトマス稚魚を根室湾沿岸の河川から放流し、その回帰を調べた。
虎尾氏は「根室湾沿岸の河川に回帰した標識魚のうち偶数年生まれでは83%、奇数年生まれでは38%がそれぞれ放流した川で捕獲された。カラフトマスも一定の母川回帰性を持つが、年級群によって差がある可能性が示唆される」と語った。
一方、ポスター発表では、さけます・内水面水産試験場の安藤大成氏が「野生サケの研究からわかってきたこと−非放流河川に遡上するサケの集団評価−」を報告した。
同研究では、千歳川(放流河川)とその支流である漁川(非放流河川)に遡上するサケの遺伝的な解析と形態の比較を行い、漁川に遡上するサケの由来と特徴を検討した。
その結果、漁川の集団は遺伝的には千歳川の集団と類似していたが、形態には違いが見られた。漁川の集団は千歳川からの迷入ではなく、千歳川とは異なる環境でふ化していると推定された。
研究成果の活用策としては、野生魚の存在と生態を把握することは、サケ増殖事業を行う上で重要な情報になり、またエコラベル(MSC認証)取得の取り組みに当たり必要となる野生魚の情報としても役立てることができる−としている。
道総研水産研究本部 成果発表会
根室海区当幌川で調査研究
今後の資源造成にも貢献
地方独立行政法人・北海道立総合研究機構水産研究本部は、道内各水産試験場で行っている研究開発、研究成果を広く公開する「平成23年度水産研究本部成果発表会」を8月9日、札幌市内中央区のかでる2・7で開催した。
冒頭、鳥澤雅水産研究本部長が挨拶。「3月の大震災で被災した東北地方が徐々に復旧していく様子をみて、水産業は地域経済を支える大きな存在だと改めて強く感じている。水産業では今、水産物を上手に利用して持続可能な資源にしていくことが大きなテーマ。各水産試験場ではそのための研究に取り組んでいる。北海道の優れた水産物を新鮮な状態で消費地に届け、またより価値の高いものとして評価を高めて、本道経済にも寄与できるように努めていきたい」と述べた。
研究成果発表は、口頭発表が7件、ポスター発表は7件で合計14件。
このうちサケ関連をみると口頭発表では、さけます・内水面水産試験場道東支場の虎尾充氏が「カラフトマスは生まれた川に戻ってくるのか?-根室海区におけるカラフトマスの母川回帰性-」というテーマで報告した。
カラフトマスの母川回帰性の程度はほかのサケ属魚類に比べ弱いとされており、特に日本での状況はよく分かっていない。そこで今回の研究では、標識を付けたカラフトマス稚魚を根室湾沿岸の河川から放流し、その回帰を調べた。
虎尾氏は「根室湾沿岸の河川に回帰した標識魚のうち偶数年生まれでは83%、奇数年生まれでは38%がそれぞれ放流した川で捕獲された。カラフトマスも一定の母川回帰性を持つが、年級群によって差がある可能性が示唆される」と語った。
一方、ポスター発表では、さけます・内水面水産試験場の安藤大成氏が「野生サケの研究からわかってきたこと−非放流河川に遡上するサケの集団評価−」を報告した。
同研究では、千歳川(放流河川)とその支流である漁川(非放流河川)に遡上するサケの遺伝的な解析と形態の比較を行い、漁川に遡上するサケの由来と特徴を検討した。
その結果、漁川の集団は遺伝的には千歳川の集団と類似していたが、形態には違いが見られた。漁川の集団は千歳川からの迷入ではなく、千歳川とは異なる環境でふ化していると推定された。
研究成果の活用策としては、野生魚の存在と生態を把握することは、サケ増殖事業を行う上で重要な情報になり、またエコラベル(MSC認証)取得の取り組みに当たり必要となる野生魚の情報としても役立てることができる−としている。