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サケ・マス通信ブログ - 第1回秋サケ・定置網セミナー 大型クラゲ来遊状況と対策について<前編>

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第1回秋サケ・定置網セミナー 大型クラゲ来遊状況と対策について<前編>2010/05/07 2:00 pm

大型クラゲの来遊状況と対策について=前編=

道立中央水産試験場 海洋環境部主任研究員
宮園章 氏

年変動が大きい「クラゲ出現」

4年目を迎えた全国モニタリング事業

セミナー記事もくじのページ

2009年はエチゼンクラゲの大量出現により、北海道の沿岸でも多くの漁業被害をもたらした。
05年の大発生と比べ北海道への到来規模は09年が上回ったという印象を持っている。
全国規模で行っている大型クラゲ出現のモニタリング事業は、05年のクラゲ大量出現が契機となり翌06年からスタートした。それ以前は地域別の情報に限られていたが、全国で一元化してクラゲの動きを捉えたほうがよいという気運となり、沖合漁業者の方々などの協力も得て情報を集め、漁業情報サービスセンター(JAFIC)がデータを集約して全国的な情報を発信している。またこの情報を基に出現予測をしていこうという国の事業の中に私たちも加わっている。

エチゼンクラゲの出現は年度変動が大きく、05年の大発生ののち、06、07年と出現規模が低下傾向を示し、08年にはほとんど問題にならない程度しかなかった。ところが09年の出現は過去最大規模となった。
09年の全国の状況は出現時期が例年より早く、そしてクラゲが日本海沖合を通って太平洋に抜ける時期も早まり大量に出て、一部は関東、三重当たりにまで下がっていった。移動パターンとしては2006年と同様といえるが、量が多く、出現場所も非常に広がった。特に多かったエリアとしては北海道が挙げられている。

大量出現の原因は生息域の環境変化か

そもそもどこで生まれるのか?


続いて、エチゼンクラゲはそもそもどこで生まれるということを紹介していく。エチゼンクラゲの生活史は、水中を自由に泳ぐクラゲ世代と海底で固着生活を送るホリプ世代に大別される。渤海や黄海、東シナ海と、中国と朝鮮半島に挟まれた内湾域を生息域とする生物で南の暖かい海を好む。しかし、そのクラゲの一部は長江からの雪解け水を含んだ淡水の大規模な流入に押し出されるような形で対馬暖流に乗り、日本の海域まで伝播(でんぱ)している。
過去を振り返ると、1929年(大正9)に福井県でエチゼンクラゲが大量出現したという報告が残っている。その後、1958年(昭和33)と1995年(平成7)にそれぞれ大量発生記録がある。1900年代には10年に一度あるかないかの非常に珍しい出来事という認識だった。ところが2000年以降の03、05、09年と、2〜4年の短いスパンで大量発生がみられるようになった。ここで「大きく何かが変わったのではないか」という指摘が専門家から出ている。

エチゼンクラゲは、本来の生息域で大量発生したのであろうと推測されるが、このエリアの多くは中国の領海内にあり情報収集が困難な状況となっている。それは国防上の理由もあるが、中国ではクラゲが重要な水産資源になっているという点もネックになり、エチゼンクラゲの実態解明の道のりを遠いものにしている。
中国でクラゲが加工されているというのは知っていたがインターネットで情報を探したところ、塩蔵クラゲを商品としている中国企業のHPがあり、さまざまな知見が得られた。
HPによると、全体生産量は推定6000トン以上としていて、これを塩蔵とみると、生のクラゲは98%が水で塩蔵は65%ぐらいと記載されていることから、概算すると水揚げトン数は30万トンに達し、北海道のスケソウの生産量に匹敵するぐらいの水揚げ規模になっていると推測される。
また、クラゲを扱う中国事業者でほかのHPを探すと、漁獲状況についての情報が載っているものもあった。それによると、06年度に中国のクラゲは漁獲が半減してしまったと記述されていた。本来の漁獲量から58%程度に減産し、漁場コントロールが行われ漁獲対象として禁漁・漁獲期間が定められていることが載っていた。
さらに養殖クラゲも前年から50%前後生産が落ちたとあり、クラゲの漁獲が減少傾向をたどっている中、需要があるのでクラゲ養殖が産業として成り立っているとのことが分かった。
このHPではクラゲ減産がどこに原因があるのかという点にも触れていて、この06年は海水温が例年に比べて低かったというのを要因の一つに挙げていた。


研究者が提唱する「クラゲスパイラル」

中国の経済発展による河川水の富栄養化が要因?


一方、広島大学の上真一教授は「エチゼンクラゲがなぜ増えたのか」ということについて仮説を立てていて、過去に研究した東京湾におけるミズクラゲ増大の研究事例を基に、「クラゲスパイラル」という状況を指摘している。
先ほど中国のクラゲ漁減産の話をしたが、魚類生産についても1970〜2005年までみると減少傾向をたどっている。獲り過ぎて魚がいなくなったということだが、また長江の河口域における河川水の栄養塩(窒素)濃度が徐々に高くなっており、中国は現在、経済発展が著しい状態で日本の1970年代に匹敵するような公害問題が人為的要素となり、それに伴って河川水がどんどん富栄養化していると予想される。
上教授はこういう状況を踏まえて「クラゲスパイラル」という仮説を提唱していて、それでは昔と今の海ではどういう変化があったのか、ということになる。
漁獲量があった昔は魚が豊富にいて、魚もクラゲも動物プランクトンを食べるので、両者がエサを巡る競合をしていた。魚がたくさんいればクラゲのいるスペースが小さくなるが、昔はこの状態で海のバランスが取れていた。
それが乱獲による魚類資源の減少、水温の上昇、人為活動としては海岸線をコンクリートで覆いクラゲのホリプができやすい環境になり、また富栄養化によってエサが増加した。
クラゲ本来の生息域である東シナ海、渤海、黄海では、こうした要因が絡まって魚が減少しクラゲがすみやすい環境がつくられていき、クラゲの海にまっしぐらという状況が起こっているのではないかと、上教授は推測している。ただこれらについては、現在は調査することができないので、仮説止まりの話になっている。
(2010.02/12配信号に掲載)


後編に続く

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