サケ・マス通信ブログ - 輸出・輸入のエントリ
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今期の秋サケ輸出 再び大きく後退か2010/10/29 12:00 pm
円高直撃 秋サケ輸出に暗雲
低調な水揚げで中国向け輸出ドレス高騰
水揚げが予想以上に伸びず、急激な円高が直撃―。今期の秋サケ輸出に暗雲が立ち込めている。
ロシア、北米など主力産地で生産量が伸びず、加工原料として全世界的に強いタイト感が漂う中、大きな期待が持たれた道産秋サケが例年を下回る水揚げとなったことで中国向け輸出ドレス価格が高騰、加えて急激な円高が直撃し、商社・加工筋は大打撃を受けている。
当初契約分は逆ザヤ価格での搬出を余儀なくされており、昨シーズンの復調から一転、低調な水揚げ状況も手伝って今期の秋サケ輸出は再び大きく後退する公算が強まっている。
「救世主」となるはずの秋サケが…
当初契約分は逆ザヤ販売余儀なく
秋サケ輸出大手のある商社によると、同社の今期秋サケ輸出は当初契約分として扱うドレス製品約5000トンで打ち止めせざるを得ない情勢で「救世主となるはずだった秋サケが追い討ちをかける存在になってしまった」と話す。
昨年大豊漁となったロシアのマスを筆頭に今期はチャムも少なく、サケ・マス原料が世界的にショートする中で始まった秋サケ漁だが、高水温の影響により当初は来遊が振るわず、9月下旬からは一気に上向いたもののその後は期待されたほどの盛り上がりがなく終盤戦へ。
盛漁期には浜値も一時落ち着いたものの、今度は15年ぶりとなる極端な円高が直撃。
加工・商社ら流通筋は為替相場による差損を強いられながらの商売とになり、当初契約分の搬出については完全な逆ザヤ販売に。昨年、キロ3.5ドルだった道産秋サケは今期3.8ドルでスタートしその後4.2ドルに上昇。トン換算で400ドルも高い水準にまで跳ね上がった。
通常時であればドレスで年間1万トンほどを輸出する同社も「水揚げ不振と円高のダブルパンチ。現状サケ・マスに関しては全世界的に後ろ向きの商売となっている。高い物には手を付けられず、先行の契約分のみで今期は撤収せざるを得ない」と、同社の搬出も前年から一気に半減となりそうな情勢だ。
ただ、浜にとっては漁が少なかったことが逆に救いになったとも指摘。「仮に潤沢に水揚げが続けば輸出向けドレスの為替損を浜値に転化する動きが強まり、必要以上に浜値が下落した可能性もあった」と話す。
21年度産秋サケは期別で6万トンを超え復調した輸出だが、今期については水揚げの減少と円高の余波で再び大幅な縮小傾向に転じることになりそうだ。
(週刊サケ・マス通信 2010.10/26配信号に掲載)
低調な水揚げで中国向け輸出ドレス高騰
水揚げが予想以上に伸びず、急激な円高が直撃―。今期の秋サケ輸出に暗雲が立ち込めている。
ロシア、北米など主力産地で生産量が伸びず、加工原料として全世界的に強いタイト感が漂う中、大きな期待が持たれた道産秋サケが例年を下回る水揚げとなったことで中国向け輸出ドレス価格が高騰、加えて急激な円高が直撃し、商社・加工筋は大打撃を受けている。
当初契約分は逆ザヤ価格での搬出を余儀なくされており、昨シーズンの復調から一転、低調な水揚げ状況も手伝って今期の秋サケ輸出は再び大きく後退する公算が強まっている。
「救世主」となるはずの秋サケが…
当初契約分は逆ザヤ販売余儀なく
秋サケ輸出大手のある商社によると、同社の今期秋サケ輸出は当初契約分として扱うドレス製品約5000トンで打ち止めせざるを得ない情勢で「救世主となるはずだった秋サケが追い討ちをかける存在になってしまった」と話す。
昨年大豊漁となったロシアのマスを筆頭に今期はチャムも少なく、サケ・マス原料が世界的にショートする中で始まった秋サケ漁だが、高水温の影響により当初は来遊が振るわず、9月下旬からは一気に上向いたもののその後は期待されたほどの盛り上がりがなく終盤戦へ。
盛漁期には浜値も一時落ち着いたものの、今度は15年ぶりとなる極端な円高が直撃。
加工・商社ら流通筋は為替相場による差損を強いられながらの商売とになり、当初契約分の搬出については完全な逆ザヤ販売に。昨年、キロ3.5ドルだった道産秋サケは今期3.8ドルでスタートしその後4.2ドルに上昇。トン換算で400ドルも高い水準にまで跳ね上がった。
通常時であればドレスで年間1万トンほどを輸出する同社も「水揚げ不振と円高のダブルパンチ。現状サケ・マスに関しては全世界的に後ろ向きの商売となっている。高い物には手を付けられず、先行の契約分のみで今期は撤収せざるを得ない」と、同社の搬出も前年から一気に半減となりそうな情勢だ。
ただ、浜にとっては漁が少なかったことが逆に救いになったとも指摘。「仮に潤沢に水揚げが続けば輸出向けドレスの為替損を浜値に転化する動きが強まり、必要以上に浜値が下落した可能性もあった」と話す。
21年度産秋サケは期別で6万トンを超え復調した輸出だが、今期については水揚げの減少と円高の余波で再び大幅な縮小傾向に転じることになりそうだ。
(週刊サケ・マス通信 2010.10/26配信号に掲載)