サケ・マス通信ブログ - 第1回秋サケ・定置網セミナー 秋サケ輸出の現状と今後の展望<前編>
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第1回秋サケ・定置網セミナー 秋サケ輸出の現状と今後の展望<前編>2010/05/06 11:00 am
秋サケ輸出の現状と今後の展望=前編=
09年 不漁予測から一変。
中国への搬出順調も商談厳しく
横浜冷凍株式会社 北海道水産事業部長 千田重賢 氏
セミナー記事もくじのページへ
当社北海道水産事業部では、秋サケを筆頭にホタテ、スケソウなどの輸出事業を行っている。09年の秋サケは当初予想に反して水揚げが伸びたことでかなり苦慮したというのが実感だ。
結論から言えば、今シーズン道産秋サケの輸出予想数量は約5万トンと見込んでいる。形態はほぼ9割以上がドレスで、歩留まりから計算した原魚ベースでは約7万5000トン換算となり、今期水揚げ15万トンのほぼ半分が輸出に向けられた形になる。
統計ではヒネ物となる9月を除いて通関実績でまだ10、11月分しか公表されていないが、10月で1万2800トン、11月で1万2700トンの搬出。トータル2万5600トンで、このうち中国向けが2万3000トンの実績。水揚げ不振となった前年は年間トータルで約3万トン、うち中国向けが2万5000トンとなっていたことから、この2カ月でほぼ前年の実績と相当する格好となり、今後12月分以降の搬出が進めば2倍ほどの数量が輸出されるのではとみている。
今期の輸出環境を振り返ると、昨年8月時点の不漁予測に伴い、我々も「今シーズンは相当高くなる。中国側の提示値段と合わなくなる」と予想し、事業開始以来初めて中国現地での商談を見送った。
この判断には日本の秋サケと同じ中国での加工原料となるロシア、アラスカのチャム、マスの存在があり、特にロシアのマスは42万トンの大豊漁(前年15万トン)、チャムも8万6000トン(前年5万トン)の水揚げがあったことが要因となった。中国サイドは値段さえ合えばオホーツクの建マスも買うが、豊漁のロシア産マスがドレスベースでC&F(保険料を除く輸入地までの運賃・各種手続き、作業料込み価格。到着価格)トン当たり1700ドル、日本円換算でキロ140〜150円と全く歯が立たない状況。
この豊富な加工原料があるため、秋サケを前に中国側も駆け引きをしてくるのだが、日本の不漁予測と高値予想、さらにロシア産マスの豊漁という状況もあって、商談にならなかったというのがその時点での実際のところだった。
欧米や中国国内のバイヤーらが多く集まり毎年行われている中国でのシーフードショーでも日本産サケの案内ができないような状態で、要するに「今シーズンの秋サケは輸出できない」という判断だった。船便のコンテナも用意せずにシーズンインした形となった。
漁期始めの高値で当初は輸出を見送る判断に
漁期に入り、ふたを開けてみると、当初は予測通りの高値となり、ドレス換算すると加工賃などを含め300円を超える価格帯に。これまでの輸出事業で300円を超える物は通ったことがなく、輸出の値段にはならないと判断。
しかし、9月の後半になって水揚げが伸び始め、加工サイドからも輸出の要望が出始めた。ただ、この時の300円超えのドレス価格、C&Fトン当たり3400ドルでは、日本へ再輸出される委託加工分で集めた800トンの別格を除けば無理な価格帯だった。この800トンで今年は終わりという考えだった。
(2010.01/29配信号に掲載)
後編に続く
09年 不漁予測から一変。
中国への搬出順調も商談厳しく
横浜冷凍株式会社 北海道水産事業部長 千田重賢 氏
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当社北海道水産事業部では、秋サケを筆頭にホタテ、スケソウなどの輸出事業を行っている。09年の秋サケは当初予想に反して水揚げが伸びたことでかなり苦慮したというのが実感だ。
結論から言えば、今シーズン道産秋サケの輸出予想数量は約5万トンと見込んでいる。形態はほぼ9割以上がドレスで、歩留まりから計算した原魚ベースでは約7万5000トン換算となり、今期水揚げ15万トンのほぼ半分が輸出に向けられた形になる。
統計ではヒネ物となる9月を除いて通関実績でまだ10、11月分しか公表されていないが、10月で1万2800トン、11月で1万2700トンの搬出。トータル2万5600トンで、このうち中国向けが2万3000トンの実績。水揚げ不振となった前年は年間トータルで約3万トン、うち中国向けが2万5000トンとなっていたことから、この2カ月でほぼ前年の実績と相当する格好となり、今後12月分以降の搬出が進めば2倍ほどの数量が輸出されるのではとみている。
今期の輸出環境を振り返ると、昨年8月時点の不漁予測に伴い、我々も「今シーズンは相当高くなる。中国側の提示値段と合わなくなる」と予想し、事業開始以来初めて中国現地での商談を見送った。
この判断には日本の秋サケと同じ中国での加工原料となるロシア、アラスカのチャム、マスの存在があり、特にロシアのマスは42万トンの大豊漁(前年15万トン)、チャムも8万6000トン(前年5万トン)の水揚げがあったことが要因となった。中国サイドは値段さえ合えばオホーツクの建マスも買うが、豊漁のロシア産マスがドレスベースでC&F(保険料を除く輸入地までの運賃・各種手続き、作業料込み価格。到着価格)トン当たり1700ドル、日本円換算でキロ140〜150円と全く歯が立たない状況。
この豊富な加工原料があるため、秋サケを前に中国側も駆け引きをしてくるのだが、日本の不漁予測と高値予想、さらにロシア産マスの豊漁という状況もあって、商談にならなかったというのがその時点での実際のところだった。
欧米や中国国内のバイヤーらが多く集まり毎年行われている中国でのシーフードショーでも日本産サケの案内ができないような状態で、要するに「今シーズンの秋サケは輸出できない」という判断だった。船便のコンテナも用意せずにシーズンインした形となった。
漁期始めの高値で当初は輸出を見送る判断に
漁期に入り、ふたを開けてみると、当初は予測通りの高値となり、ドレス換算すると加工賃などを含め300円を超える価格帯に。これまでの輸出事業で300円を超える物は通ったことがなく、輸出の値段にはならないと判断。
しかし、9月の後半になって水揚げが伸び始め、加工サイドからも輸出の要望が出始めた。ただ、この時の300円超えのドレス価格、C&Fトン当たり3400ドルでは、日本へ再輸出される委託加工分で集めた800トンの別格を除けば無理な価格帯だった。この800トンで今年は終わりという考えだった。
(2010.01/29配信号に掲載)
後編に続く