開幕まで早くもあと1カ月
どう動く?今期の秋サケ
<2016.7.29日配信号>
道内秋サケ定置網漁のスタートまで今年も早くもあと1カ月となった。地域間格差がなかなか解消されず全般に不振ペースが続く中だが、平成23年以降は平均キロ単価400円台をキープするなど、輸出不振の中で国産・天然の貴重な商材として存在感を発揮している。今期新物の中国輸出についても不振継続が想定され、その分冷凍原料の国内流通が増えるとの見通しもある。今シーズンの秋サケはどう動く?ミニ特集で現状と環境を分析した。
ロシア200カイリ水域曳網試験操業が終了
漁獲わずか4.42トン 割当の1割にも満たず
水産庁は7月27日、サケ・マス流網漁の禁止に伴いロシア200カイリ水域内で実施していた曳網による代替漁法の試験操業の結果を公表した。当初設定された漁獲割当量68.88トンに対して漁獲実績はわずか4.42トンに終わり、消化率にして1割にも満たない極端な不振に終わった。
(詳細記事については「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いします)
気象情報の有効活用で網被害を未然防止
頻発する低気圧被害から漁場を
守る"使える"気象サイト紹介
<2016.7.22日配信号>
道定置漁業協会が有料・無料のお役立ちサイトを紹介
北海道定置漁業協会はこのほど、スマホや携帯電話、PC配信などを利用した「波浪予報」の利用についてまとめ、先週までに全道8地区で開催された「現地対話集会」の中で会員らに紹介した。
昨シーズンは秋サケ盛漁期に3度にわたって爆弾低気圧や台風が北日本を直撃し、各地に甚大な網被害をもたらしたのは記憶に新しいところ。頻発するゲリラ豪雨や台風の大型化によって自然災害による被害規模は年々大きくなる傾向にあり、気象の変化に対する備えと未然防止策に対する関心が急速に高まっているのが実情。
伝統ある漁場を守り、経営安定と水揚げの確保に役立つ「天気・波浪予報サイト」を有効かつ的確な利用を呼び掛けている。
(詳細記事については「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いいたします)
端境期ながら1年半ぶりに
前年実績を上回る
=5月のサケ輸出実績=
<2016.7.15日配信号>
不振の続く中国に代わってタイ、ベトナム向けが堅調
株価暴落など経済失速に伴う中国加工筋の経営悪化や再輸出先となる欧州方面の消流不振などから厳しい環境が続くサケ輸出は、5月の通関統計で合計1,156トン、約4億円となり、前年同月に比べて数量で48%、金額で87%上回った。
新物前の端境期のためボリューム的には少なく、依然厳しい大勢に変化はないものの、前年実績を上回るのは平成26年の盛期10月以来、約1年半ぶりと久々。長引く輸出不振で今期は冷凍製品の国内供給が増加する見通しの中、市況復調のためにも輸出環境の改善が期待される。
(詳細記事については「週刊サケ・マス通信」本誌のご購読をお願いします)
輸出不振で親製品の国内供給増加
=道漁連が秋サケ流通見通し=
<2016.7.8日配信号>
北海道定置漁業協会(阿部滋会長)が主催する「平成28年度現地対話集会」が7月4日の網走地区を皮切りに全道8地区で来週末までの日程で順次開催されている。この中で漁期スタートまでいよいよ2カ月を切った今期の秋サケやイクラ製品を取り巻く流通環境について道漁連が解説を行った。
イクラ、生筋子は順調消化も海外市場の開拓必須
親製品については、冷凍品の製造コスト上昇に加えて中国経済の失速と金融引き締めなどから輸出向けが激減、国内向けの供給増によりフィレなど二次加工品の荷動きが停滞していると警鐘。子製品は旬の生筋子が高値となったものの積極的な取り扱いとなり前年並みの消化に。高コストとなったイクラ製品についても供給量が低位となったことなどから比較的順調に消化が進んでいるとして期待感を表した。
ただ、安価な輸入物の搬入が増加する流れから海外マーケットを含めた市場開拓が今後必須になると見方を示した。
(記事詳細については「週刊サケ・マス通信」本誌のご購読をお願いします)
前年実績比6%微増の3,901万5千尾
道さけます・内水試が今期の全道秋サケ来遊予測を発表
<2016.7.1日配信号>
道総研さけます・内水試は、今期の全道秋サケ来遊予測値を前年実績3,682万尾に比べて6%上回る3,901万5000尾と発表した。7月1日、札幌市内で開かれた北海道連合海区漁業調整委員会の中で公表された。
昨シーズンは4年魚の来遊が比較的多かったものの5年魚の回帰が少なく、全道3,000万尾台後半の低い来遊にとどまったことから海区別では日本海区を除いて他の4海区で前年実績を上回る見通しだが、今期も4,000万尾を割り込む厳しい予測値となった。
昨年は特に全道的な傾向として4年魚が多く回帰したため今期は5年魚が多くなるとみられるが、昨年の3年魚の回帰が前年よりも少なく今期の4年魚は前年より少ない予想となっている。
(詳細な記事については本誌のご購読をお願いします)
【夏ギフト・お中元商戦】
トレンド多様化や猛暑でサケ・マス苦戦
<2016.6.24日配信号>
夏ギフト・お中元商戦が本格化している。各百貨店や大手スーパー・流通筋は趣向を凝らしたパンフレットや店頭ディスプレイで売り込みと集客に余念がない。歳末商戦では主役の座に就くことが多いサケ・マスやイクラなど魚卵製品を代表とする魚介類だが、夏商戦ではここ数年苦戦続きが伝えられている。
上質原料の手当ても難しく、他商品に大きく水あけられる
加えてロシア水域の禁漁でギフト向け筆頭の本チャンベニなど上質の春鮭鱒の手当が難しく、全体的な流れも精彩を欠く。近年続く本州の猛暑報道も加わって魚介類は「清涼感」や「簡便さ」などの面で他の商品に水をあけられている状況だ。
(記事詳細は「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いします)
第54回全道漁協組合長会議 計3項目を満場一致で決議
確固たる経営基盤の構築へ諸対策
<2016.6.17日配信号>
「第54回全道漁協組合長会議」が6月16日に札幌市で開催され、この中で本道漁業にとっての最優先課題計3項目について決議した。漁業者の減少や高齢化、漁船の高船齢化、資源の減少など生産段階において課題を抱える一方で水産貿易自由化問題や環境問題など外的諸課題が立ちはだかり、依然として厳しい局面に立たされているとの認識の中、山積する諸課題の解決のためには第50回全道漁協組合長会議で特別決議した「強い北海道漁業の確立」を基本として将来に向けた担い手対策が必要と定義。
担い手確保や資源管理、漁場保全策など拡充・強化
その上で重点的な施策展開が不可欠と考えられる「漁業経営構造安定化対策」「漁業資源の増大と資源管理対策」「漁場環境保全対策」の3項目について満場一致で決議し、漁協系統組織を挙げて推進活動を行いその実現を目指す。
(記事詳細については本誌のご購読をお願いいたします)
秋サケ回帰への影響は?
今年の夏は史上最も暑くなる!
<2016.6.10日配信号>
記録的猛暑のH22年以来ラニーニャ発生の可能性大
気象庁はこのほど、エルニーニョ現象が間もなく終息し今夏にはラニーニャ現象が発生する可能性が高いと発表した。
ラニーニャが発生すると日本付近では夏場、太平洋高気圧が北に張り出しやすくなることで夏季は気温が高くなる傾向が強まり、いわゆる「暑い夏」になる可能性が高まる。発生すれば2010年(平成22年)以来6年ぶりとなるが、この年は北日本から東日本を中心に記録的な猛暑を記録、秋サケの来遊も全道12万トン台の不振に見舞われ、東北エリアを含めて回帰資源の減少や親魚のそ上不振などが大きくクローズアップされる契機となった年。
一方で、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、今年4月の世界の気温と海水温が観測史上最高を記録したと発表。このまま推移すれば「史上最も暑い年」になる可能性があると警鐘を鳴らしている。今年の夏〜秋は高水温や低気圧被害などに十分な警戒が必要な年になりそうだ。
(記事詳細については「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いいたします)
チリで魚大量へい死
サケ養殖が一因か
<2016.6.3日号>
政府は強力なエルニーニョによる赤潮が原因と公表
日本にも大量のギンザケやトラウト、アトランティックサーモンなどを供給している養殖大国チリで今年に入って魚の大量死が相次ぎ、大きな社会問題になっている。政府は過去にない強力なエルニーニョ現象によって海水温が上昇して発生した有害藻類のブルーム、いわゆる赤潮の異常発生が原因と公表。
現地生産者は海洋汚染主張し、大規模な抗議活動を展開
しかし、現地漁業者らは補償が不十分なこと、さらに「原因の一端は養殖ブームに対する規制の甘さにある」と主張、大規模な抗議行動に発展している。チリでは夏に当たる今年2〜3月に国内45カ所の養殖場で計2,500万尾もの養殖サケの大量へい死が伝えられており、世界のサケ養殖生産の頭打ちがささやかれる中で環境問題とも相まって大きな波紋を呼びそうだ。
(記事詳細については週刊サケ・マス通信のご購読をお願いします)
春定置が本格化 各地で好スタート
小型主体、豊漁背景に安値基調も盛期に向け期待大
<2016.5.27日配信号>
連休明けから太平洋側を中心に各地で本格化している道内の春定置網漁が好調なスタートを切っている。主力の道東、日高をメインに胆振方面なども出足順調で、2キロ台の小型のトキが主体ながら各地区ともに日量で4桁台の本数を記録する日が増えてきた。
各地の好漁ペースと魚体の型が悪いことなどから浜値はキロ2,000〜1,000円ほどの値動き中心と例年に比べるとやや割安感が否めない状況ながら、来月の盛期に向けて期待できそうな展開だ。
(記事詳細については週刊サケ・マス通信のご購読をお願いいたします)
曳き網1隻が7月に試験操業
ロシア200カイリ水域日ロサケ・マス交渉が妥結
<2016.5.20日配信号>
ロシア200カイリ水域における日本漁船の今期サケ・マス漁の操業条件などを決める日ロサケ・マス漁業交渉が13日、モスクワで妥結した。今年度からロシア水域での流網漁が全面禁止されたことを受けて、代替漁法として調査船1隻が曳き網による試験操業を実施することで合意。漁獲割当量はわずか68.88トンで、中型船の出漁見合わせで大幅減となった前年度の1,961.75トンからさらに約30分の1にまで激減する。
(詳細記事については本誌のご購読をお願いいたします)
再び輸入は増加傾向へ
チリ冷ギン主体に2割増
【3月のサケ・マス類輸入】
<2016.5.13日配信号>
財務省の貿易統計に基づく3月のサケ・マス類輸入実績は、フィレ製品を含め単月で1万8,517トン、138億3,649万円となり、前年同月に比べて数量で2割増となった。チリ産冷凍ギンザケの搬入が平成25年以来3年ぶりの高水準で推移していることなどが要因で、ここ2シーズン続いた輸入物の縮小傾向から脱却する勢い。
相場は冷却・単価2割安 国産サケ・マスにも影響か
総体のキロ単価は747円と3カ月ぶりに700円台に戻したが、相場の冷却が進んでいることで搬入金額は6%増にとどまった。ギンを主体とした輸入物の下方修正と搬入増に伴い、国内サケ・マス類の相場形成にも影響が出そうな情勢となっている。
(詳細記事は「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いします)
フィレ製品に高い需要
強い引き合い期待
<2016.4.28日配信号>
連載形式で紹介してきた道水産物荷主協会による荷受・商社筋へのアンケート調査の最後を飾るのは「秋サケ」。末端で競合する輸入鮭鱒の高値という追い風と品質の確かさ、消費者への安心感などから再評価が進み国内流通は総じて堅調、近年の浜値好調の主要因となってきた。
荷受・商社筋 「安定相場」を前提に取り扱いの増加に意欲
定塩フィレやフレッシュ製品を中心に需要は確実に高まっており、価格帯に大きなズレが生じない限り今期新物にも強い引き合いが期待できそうだ。ただ、輸入品相場の下方修正が進んでいることから、消費の減退につながる高値には需給双方に警戒感を残すほか、新巻製品や輸出向けの不振といった課題も抱えている。三陸方面を含めた漁のボリュームも注目される。新漁まで4カ月余り、久々の好漁となるか―。
(記事詳細については「週刊サケ・マス通信」のご購読をお願いします)
道内6海域29エリアの
沿岸水温を掲載
=札幌管区気象台の新サイトが話題に=
札幌管区気象台が今年1月からスタートさせた情報提供サービス「北海道沿岸域の海面水温情報」のサイトが話題となっている。前日までの日別海面水温と海域の平均解析結果を毎日更新しているもので、ほぼリアルタイムで全道各エリアの沿岸水温がチェックできるシステム。
前浜の海況チェックに最適、過去のデータも充実
現在最中のサケ・マス稚魚の放流適期の把握、まもなく盛期に移るホタテ稚貝の採苗作業などで前浜の漁業者、関係者に広く利用可能なほか、データ分析の面で研究機関からも重宝されそうな内容となっている。海水温の上昇傾向や資源の減退傾向が顕著に現れ始めている昨今、海況情報とそのモニタリングの重要性を再認識する上でも優良なサービスと言えそうだ。
(記事詳細は「週刊サケ・マス通信」本誌のご購読をお願いします)
イクラ高騰継続
漁次第で再び荷動き鈍化懸案
=道水産物荷主協会・荷受アンケート調査から「魚卵編」=
<2016.4.15日配信号>
生筋子は流れ堅調もイクラは輸入物先行の動き
前回に続いて北海道水産物荷主協会がこのほど実施した荷受・商社筋へのアンケート調査から「イクラ」および「筋子」の魚卵製品についての意見を紹介する。
昨シーズンのイクラは期首の越年在庫が少ないまま新漁へと突入、三陸を含めて漁が大きく先細りとなったことで新物相場は全体に高値推移を強いられ荷動きは鈍化した。逆に旬の生筋子、輸入塩筋子にはある程度の動きが出たものの、輸入解凍物との兼ね合いもあって末端の売り場からはやはり冷静な価格設定を求める声が一段と強まった。
不安定な秋サケの来遊に伴い量産できないジレンマを抱える中だけに、消費の拡大さらには活気あふれる商戦を実現させるためにも今期は魚卵相場の沈静化につながるような豊漁と安定相場に期待を寄せる声が強いようだ。
(記事詳細については本誌のご購読をお願いいたします)