イクラ高騰継続
漁次第で再び荷動き鈍化懸案
=道水産物荷主協会・荷受アンケート調査から「魚卵編」=
<2016.4.15日配信号>
生筋子は流れ堅調もイクラは輸入物先行の動き
前回に続いて北海道水産物荷主協会がこのほど実施した荷受・商社筋へのアンケート調査から「イクラ」および「筋子」の魚卵製品についての意見を紹介する。
昨シーズンのイクラは期首の越年在庫が少ないまま新漁へと突入、三陸を含めて漁が大きく先細りとなったことで新物相場は全体に高値推移を強いられ荷動きは鈍化した。逆に旬の生筋子、輸入塩筋子にはある程度の動きが出たものの、輸入解凍物との兼ね合いもあって末端の売り場からはやはり冷静な価格設定を求める声が一段と強まった。
不安定な秋サケの来遊に伴い量産できないジレンマを抱える中だけに、消費の拡大さらには活気あふれる商戦を実現させるためにも今期は魚卵相場の沈静化につながるような豊漁と安定相場に期待を寄せる声が強いようだ。
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相場弱含みを想定
取り扱い増に期待
【輸入鮭鱒】
<2016.4.8日配信号>
前々回に続いて本号では、このほど北海道水産物荷主協会が実施した荷受・商社筋へのアンケート調査から「輸入鮭鱒」を紹介する。「まるでジェットコースターのよう」とも揶揄(やゆ)され、関係商社から末端までに大きな欠損をもたらす主要因ともなった近年の輸入サケ・マス相場の超乱高下だが、昨夏以降ようやく落ち着いた相場へと転じている。
順調な消流に向けては依然高値 下方修正求める声も
今年は主要品目となるチリ産の冷ギン、米ロ産冷ベニともに潤沢な搬入を想定、国内の販売相場は弱含みが想定され、これを機に養殖物マーケットの復調や取り扱いの好転を期待する声が多い。ただ、国産品を含めた順調な消流に向けては依然高値水準にあるとして、下方修正を求める意見も寄せられている。春鮭鱒や春定置物、秋サケ相場への影響が注目される。
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前年同条件 漁獲枠合計2,050トンで決定
=日本200海里サケ・マス交渉=
<2016.4.1日配信号>
日本200カイリ水域内の今期ロシア系サケ・マス漁の操業条件などを決める「日ロさけ・ます漁業交渉」(日ロ漁業合同委員会第32回会議)が3月26日に妥結した。22日から東京で協議されてきたもので、漁獲枠は計2,050トン、協力金は漁獲量に応じて2億6,405万円〜3億6,000万円の範囲とし、いずれも前年と同じ条件で決定。
流網禁止を受け日本側がトロール試験操業を提案
また、本件に続いてロシア水域内のロシア系サケ・マスの漁獲条件について協議。流網漁の禁止を受けて日本側は代替としてトロールによる試験操業を提案したが実質的な話し合いにまでは至らず、今月後半に日程を改めモスクワで具体的な協議を行うことになった。
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【春鮭鱒】流通量減退と
価格高騰に強い警戒感
=道水産物荷主協会アンケート調査から=
ベニはロシア定置物、米ロ産定塩フィレへのシフト示唆
<2016.3.25日配信号>
道水産物荷主協会はこのほど、全国の大手荷受会社・関連商社筋を対象とした主要魚種別のアンケート結果を集計した。?販売の特色?改善要望?今年の展望――の3点について回答を求めたもの。サケ・マス関連では「秋サケ」「春鮭鱒」「輸入鮭鱒」「イクラ」「筋子」の各品目について流通の最前線に立つ荷受会社販売担当者から貴重な意見が多数寄せられた。
このうち、ロシア水域での流網漁禁止に伴い、今期の操業条件や水揚げに関して多くの懸案を抱える「春鮭鱒」については、流通量の減退とその反動による価格高騰を心配する声が多数寄せられ「(高値による)マーケットの縮小と消費離れ」を予想する声が大勢を占めた。【本号以降品目別にアンケート要旨を順次紹介予定】
ノルウェーアトラン
生産減で史上最高値
輸出価格 過去30年間で最高値の800円台にまで高騰
<2016.3.18日配信号>
量販店の売り場で国産秋サケの競合相手となっている輸入養殖サーモン。塩蔵・解凍物を含めて主力のチリ産銀ザケ、ノルウェー産アトランの切り身パック製品がショーケースに並ばない日はないほどの充足ぶりをみせている。
飛躍的な増産を果たしてきた養殖サーモンだが、全世界的な需要の増加に対して供給量は頭打ちがささやかれ始めて久しく、特にノルウェー産のアトランが魚病の影響で生産縮小が確実視されており、再び大幅な値上がりに転じているという。輸入物の価格が落ち着きを戻しつつある中、この傾向はさらに持続する見通しで、世界の量販・外食マーケットに大きな影響を与えそうだ。
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サケ600万尾増の10億3810万尾
平成28年度の全道サケ・マスふ化放流計画
<2016.3.11日配信号>
第20期第19回北海道連合海区漁業調整委員会が3月10日に札幌市内で開かれ、平成28年度全道サケ・マス人工ふ化放流計画が諮問され、原案通りこれを答申した。来年度のサケ放流計画は、全道合計10億3,810万尾で、資源底上げを目的とした施設整備・増殖体制の拡充などに伴い前年度計画に比べて全体で600万尾の増加となった。
カラフトマスはオホーツク海区の施設整備に伴い前年度計画に比べて全体で250万尾増の1億3,840万尾を放流。サクラマスについては、魚病発生に伴い稚魚が前年計画に比べて239万5,000尾少ない280万5,000尾、幼魚が同じく124万9000尾少ない110万6000尾と一時的ながら大幅に縮小する。
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チリギン1万7千トン 3年ぶり高水準
=1月のサケ・マス類輸入実績=
<2016.3.4日配信号>
財務省公表の輸入通関統計に基づく今年1月のサケ・マス類の輸入実績は、新物搬入の盛期となったチリからの養殖冷凍ギンザケを中心にフィレ製品含め約2万7,000トンとまとまった。前年同月に比べて1割強多い水準で、チリギンが3年ぶりに1万トン台後半の月間搬入量を記録したことが増加要因。
総平均単価下方修正、2013年4月以来の600円台
一方、平成25年の価格暴落の反動を受けて高騰が続いていた製品価格についてはさらに冷却が進み、1月の総平均は前年同期に比べて2割安い670円まで下方修正された。月間600円台は2013年4月以来、2年半、約30カ月ぶり。冷ギンも500円台前半まで下落した。
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極東ロシア サケ・マス33万t予想
<2016.2.26日配信号>
直近奇数年と同水準も異常気象など考慮し「慎重予測」
全ロシア海洋漁業研究所はこのほど、極東エリアの太平洋サケ・マスについて2016年漁期の第1次漁獲予測を発表した。これによると北半球の深刻な異常気象などの影響を考慮、「慎重な予測」と前置きした上で漁獲勧告量(漁獲予測量)を合計約33万トンとした。
当初の予測値としてはほぼ一昨年と同じ水準の勧告量となる。昨シーズン漁期のサハリン地区におけるカラフトマス大不振など想定外の不漁傾向などに配慮したためと思われる。
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サケ消費 生、塩ともに大幅回復
=平成27年総務省家計調査から=
<2016.2.19日配信号>
総務省が毎年実施している家計調査の最新集計結果が2月16日に公表された。全国1世帯当たり(2人以上の世帯)の品目別平均支出金額や購入数量を調べたもので、国民の消費動向を探る指標となる。このうち昨年(平成27年)のサケの年間購入量は、生鮮品で前年比6%増の2,728グラム、塩サケも同比11%増の1,577グラムと大幅に改善した。
増税、高値で近年最低に落ち込んだ前年から一転
増税や輸入鮭鱒類の高騰、国内供給の減退などを背景に近年最低の水準に落ち込んだ前年から一転、食卓にサケが登場する機会が大きく増えたことをうかがわせる調査結果となった。今回も県庁所在地および政令指定都市別(調査対象都市数・全国52市)にランキングして消費動向を探ってみた。
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昨年の農林水産物輸出 2割増7,452億円に
=「目標1兆円」農水省の輸出戦略=
<2016.2.12日配信号>
3年連続で過去最多を更新 目標を1年前倒しで達成
農水省はこのほど、2015(平成27)年の農林水産物・食品の輸出額を発表した。総輸出金額は7,452億円に達し昨年実績6,117億円に対して21.8%増と大きく上回り、過去最多を記録。これで3年連続で過去最高を更新するなど好調を維持している。
平成25年8月に策定した「農林水産物・食品の輸出戦略」における本年までの中間目標7,000億円を1年前倒して達成した形で、2020年に定めた「輸出目標1兆円」についても前倒ししての達成を目指す。水産物では原料および食品ベース含めてホタテが大きな伸長をみせた一方、サケ・マス類は重点品目で唯一、大幅なダウンを余儀なくされており=前号で詳細=、今後は環境の改善が課題となりそうだ。
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前年比13%増 累計最終24万9,000トン
=サケ・マス類輸入H27年最終実績=
<2016.2.5日配信号>
チリギン、冷ベニが伸長、鮮アトランも堅調な推移
財務省が公表する貿易統計に基づく平成27年(1〜12月年間累計最終)のサケ・マス類輸入実績がこのほどまとまった。
価格高騰から搬入不振となった26年から一転、12月期の新物が月間で1万トンの大台に乗り旺盛な搬入となったチリ冷ギン、米ロの好漁を反映して久々の大型搬入を記録した冷ベニを中心に前年を大きく上回る搬入となり、最終累計で前年比13%増の24万9000トンとなった。
キロ単価は冷ギン、トラウトなどがやや落ち着きをみせたことで前年最終に比べて1割安の770円まで冷却されたが、数量増となった分、総体の輸入金額はほぼ前年並みの1916億円を維持する結果となった。
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海洋に漂う「プラスチックゴミ」大きな国際問題に
年間1000万トン
生態系への影響懸念
ミリ単位以下まで微細化、急速に広がるプラスチック汚染
海洋に漂ういわゆる「プラスチックゴミ」に対する関心が高まりつつある。先週末に東京海洋大学で日本で初の海のゴミに関する国際シンポが開催され、世界各国の海洋研究者が参集、ミリ単位以下にまで微細化された「マイクロプラスチック」が生物や生態系に与える影響や世界で年間1000万トン前後ともされるプラゴミが海に流出されている実態などについて報告、流出を防止する対策の強化が急務と指摘した。
一部では定置網の固定・敷設用として全国的に広く普及しているビニール土俵やビニール浮子などについても今後、環境保全の観点から風当たりが強まるとの意見もあり、将来的には何らかの対応や代替が求められるとの予測も出ている。
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東北太平洋 南北で大きく明暗
【秋サケ漁ほぼ終漁】
<2016.1.22日配信号>
青森〜岩手県北は健闘も以南は大不振のまま終漁
今シーズンの東北太平洋の秋サケ漁がほぼ終漁した。青森〜岩手県北エリアは健闘をみせ、昨シーズンを上回る漁獲に達する地区があった一方、震災復旧に伴う稚魚放流数の減少や春先の低水温などが要因とみられる回帰不振が顕著となった岩手県央以南は不調のまま切り上げを迎え、特に宮古〜釜石方面は前年実績の半分に満たない水揚げにとどまる網が多くを占めるなど非常に厳しい操業を強いられた。
主要3県合計しても2万トンレベルに大きく届かない1万6000トン台半ばの凶漁で、年末年始の需要期と重なった漁終盤のキロ単価は岩手県央で地区によっては平均700円を超える超高値にまで高騰した。ただ、採卵については、主軸の岩手県で現状当初計画を5%ほど下回るものの、海産卵含め計4億3000万粒を確保し、漁期中の対策が奏功、増殖・生産者一丸の尽力で苦しい環境下で大きな成果を挙げた。
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H26年最終を上回る累計22万5,000トンに
=11月のサケ・マス類輸入実績=
<2016.1.15日配信号>
チリ冷ギン新物は前年同月を1割上回る6,600トン
財務省輸入通関統計に基づく11月のサケ・マス類輸入実績は、フィレ製品を含む生鮮、冷蔵品合わせて2万376トンとなった。新物の搬入がスタートしたチリ産の冷ギン、ロシアからの冷ベニを主体とした実績で、これで年間累計実績は約22万5000トンと12月実績を待たずに近年最少に落ち込んだ前年最終実績の22万トンを上回った。残る12月実績が前年並みの2万トン前後と想定すると、最終実績は24万トン台とほぼ平年並みの搬入水準で落ち着きそうな様相だ。
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250万尾超えも3季ぶりの不漁確定
=岩手県秋サケ終盤戦=
<2015.12.25日配信号>
終盤戦の岩手県秋サケ漁は、22日現在の定置協会の集計で累計250万尾に到達したが、前年同期に比べて4割減と平成24年以来3シーズンぶりの不振が確定的となった。一部河川で主群4年魚の回帰が低調に推移しており、今期4年魚の平成23年級は親魚不足に加えて施設復旧の遅れから放流数が例年の半数程度となっていることから、震災の影響が指摘されている。
採卵は好転、海産親魚使用の緊急種卵対策は解除
ただ、種卵不足の懸念から中期に発動されていた種卵対策「海産親魚使用緊急種卵確保対策発動」については、収卵数が上向き採卵計画に対する実績が好転したことで17日付けで解除された。